2018/07/30

フォールによってボルトは痛むか?

Rock and Ice のQAです。

  • 正しくセットされていれば、基本的にはフォールによってボルトが痛むことはない
  • 金属疲労は数万回とかのオーダーなので気にしないでよい
  • ボルトを締め直すことが重要
  • ボルトの事故El Capitan Iron Hawkの1982年の事故では、ボルトが腐食していた。セットから5年で。
  • ボルトの事故その2。3/8インチ-3インチ長のボルトが締めているときに壊れた。トルクが強すぎたわけではなく、ボルトの製造不良で空気の泡が入っていたとのこと。
  • ボルトを信用しすぎてはいけない。ラペル、ビレイ、などのアンカーではバックアップをとること。
https://rockandice.com/climbing-gear-tips/do-falls-weaken-bolts/

2018/07/27

ダヴィッド・ラマのアンナプルナⅢ峰登攀ドキュメンタリー

David Lama(ダヴィッド・ラマ)がヒマラヤのアンナプルナⅢ峰に南西から挑戦するドキュメンタリーです。パートナーはオーストリアのHansjörg AuerとAlex Blümelです。ヘリコプターでのアプローチから始まって、テントでの会話なども撮られており、見応えあるものになっています。悪天候で敗退しましたが、また挑戦するということです。


2018/07/25

エヴェレスト登頂までの生動画

フォトグラファー、フィルムメーカーのElia Saikalyが撮影したエベレスト登頂の動画です。音楽などが一切入っておらず、生の映像になっているのが特徴です。

 キャノン5Dの16-35mmレンズ使用とのこと。



この先がヒラリーステップ

頂上から



2018/07/23

ペツルのブースの説明 Outdoor Show 2018

ドイツの Friedrichshafenで開催された2018OutDoorショーのペツルブースでの新製品の説明です。マイナーチェンジだけで、新製品の発表はなかったようです。

GriGriの改良版です。成型をGriGriPlusと同じにしたので、ハンドル操作がスムーズになっていたり、ロープ対応経が広くなっています。



アンジュフィネス クイックドロー

スリング部分がスピリット・エクスプレスのような太い形状になっています。これによってハンドリングが楽になるし、軽いのでスポートオンサイトや長いピッチのルートにおすすめとのこと。



ヘルメットメテオ。これは第4世代になります(名前は単にMeteo)。重さは240グラムで5グラムほど重くなるようです。表面仕上げはツルツルだったものがマットになります。

スキーレースなどで使えるようにゴーグル、バイザーが装着しやすくなっています。

ヘルメットで頭頂部だけでなく側頭部も守れるようにしたいとのことで、横側もカバーできる形状になっている。ちなみにUIAAのテストは頭頂部のみとのこと。





2018/07/20

レッドリバーゴージュでのボルト抜け事故


レッドリバーゴージュのルーフのルーフでテンションをかけたボルトが抜ける事故がありました。まとめると・・・

  • ルートはRehab Cragにある赤のタグがある(レッドポイントされていない印)ルート
  • 『オープンプロジェクト』だと間違った情報を聞いてトライした
  •  ルートはボルト5本のスラブルートの上にあり、上のルートではクイックドローは残置されていた
  • ルーフの最初のボルト(下から6本目)で残置ヌンチャクで敗退
  • 下から2本目のボルトを回収したときに一度体重を抜いて、再加重したときにルーフのボルトが抜けた
  • 約3メートル落下し、脛骨(足)を骨折 事故者はAMGAのインストラクター
  • ボルトは2.5インチ長、3/8インチのステンレス製ウェッジアンカーで、引き抜きは3500ポンド (約1600kg)
  • ボルトにハンマーマーク(叩いた跡?)があり、ウェッジが正しく開いておらず、回る状態になっていた。
  • ドリルビットにミリ径のものを使っていて穴が狭すぎた可能性がある。
  • ルートの他のボルトも回っていて異常だった
  • ルート開拓者によると、ボルトがおかしかったのでレッドタグをつけていたとのこと 

どうやったら防げたか

  • 敗退時に残置ヌンチャクだけを使ったが、自分の敗退ビナを足して2本でロワーダウンした方がよかった
  • ボルトを疑って行動すべきだった
https://rockandice.com/climbing-accidents/bolt-pulls-out-in-the-new-river-gorge/


おまけ

ペツル公式で紹介されている残置1本だけでロワーダウンする方法



2018/07/13

ペツルのタイブロックによるロープのダメージに関する記事

Rock and Iceの質問コーナーです。

質問: タイブロックの歯でロープは傷つくのでしょうか?

回答: 使い方を間違えると、傷つきます。

タイブロックは安くて、軽くて(39グラム)、8-11ミリロープで対応していて、便利なアッセンダーです。ただ、常用するなら通常のアッセンダーがよいでしょう。

歯に関しては、 デバイスをずらすときに完全に離しておかないと傷がつきますし、適切にセットされずにロープの端がずれても傷がつきます(これは容易に起こります)。ペツルのサイトで正しい使い方を見ておくとよいでしょう。

 歯のあるアッセンダーはロープ表面を傷つける可能性は必ずあるのですが、その中でもタイブロックは特に傷をつけやすいです。なぜなら、カラビナをくさびとして利用する機構だからです。タイブロックを移動させるときは、必ずカラビナを浮かせないといけません。タイブロックの許容荷重は10mmロープで4.2kNですから、レスキューに使うときなどはロープにダメージが行きます。

歯のことが心配なら、歯のないアッセンダーを使ってみるとよいのではないでしょうか。歯のないものはカム機構でロープをクランプするのです。 操作を必ず両手でしなければならないのが難点ですが、両手を離せるならよいでしょう。

2018/07/11

ショーンマッコールが壁を蹴って懸垂に戻る動画

ショーンマッコールの変わった動画です。

『目標はどっちの方向にも回れるようになること。人はみなどちらか側が強いものです』

とコメントしています。

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続いて壁にバランスボールを置いた状態。

これはさすがに失敗しましたが、

『できると思っているし、またやります』

とのこと。

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2018/07/09

The Naked Edge(6P, 5.11b)のスピード記録チャレンジ

RabのアスリートのScott Bennett と Brad Gobrightがスピードレコードに挑戦しています。


The Naked Edge(5.11)は6Pのトラッドマルチピッチで、要所にはアンカーも打たれて整備されているようです。 ルート情報  整備情報
このルートをフリー初登したJimEricksonのインタビューも入っています。

橋からダッシュしてスタート。



この場所まで戻ってくるまでの時間が記録です。



マイクロトラクションでプロテクションを取り、縦に連なって同時登攀しています。




15分23秒 とても良い景色ですけど、見てる余裕ないんでしょうね〜。


降りていきます。



26分16秒 で記録達成です。




さらに2週間後、24分57秒まで記録を短縮したとのこと。


場所はコロラド州のエルドラドキャニオン(Eldorado Canyon)です。

2018/07/06

アレックス・オノルドの事故報告(2016)

アメリカン・アルパイン・ジャーナルの事故報告の中にある、2016年にアレックス・オノルドがグラウンドフォールしたときの事故報告です(本人による報告)

場所はワシントン州、Index のLower Town Wall にあるGodzilla (5.9) というクラシックルートです。マルチピッチの1P目が5.9でシングルピッチとしても登られるようです。

事故内容

  • トップロープをセットするために登っていた(アプローチシューズで)
  • 70mロープで登って、交換するよう頼まれたロープが60mだった
  • ロワーダウン中にロープが足りなくなり、2,3メートルグラウンドフォール
  • 臀部、背中を打って脊椎2箇所を圧迫骨折

オノルドによる分析

  • ロープの長さに注意すべきだった
  • ロープ末端に結び目を作っておくべきだった
  • ヘルメットはかぶっていなかったので頭を怪我しなかったのは幸運だった
  • ビレイヤーは経験1年未満だった
  • 全体的に、油断していた(Basically, things were all just a bit too lax.)



http://publications.americanalpineclub.org/articles/13201213878/Fall-on-Rock-Lowering-Errors-Rope-Too-Short


場所はここらへん


2018/07/04

アダム・オンドラのインタビュー 9a+ (5.15a) 世界初フラッシュを達成後

アダム・オンドラ(Adam Ondra)が フランスのサンレジェ(Saint-Léger)にある9a+のルート、Supercrackinetteをフラッシュしたあとのインタビュー翻訳です。 

アダム、おめでとうございます。9a+ (5.15a) ルートのフラッシュについて、いつから考えていたのでしょうか?

2008年のセユーズで、Biographieを見たときからです。 そのとき、このルートをトライしようとしていたのですが、フラッシュ用にとっておくことにしました。当時、周りの人は馬鹿げた考えだと思ったようです。Biographieは2012年に登りましたが、難しすぎました。その時点でフラッシュに適した9a+のルートが無くなってしまいました。セユーズには9a+のルートは多くはなく、ほとんどを登ったか、触っていたのです。

2014年にスペインサンタリーニャで Selección Anal, 9a+をトライしましたが、惜しくも一撃できませんでした。ただ、あのルートは9a+とは言えなくて、やさしい9a+か難しい9aだと思います。落ちてしまったので、どちらでもかまいませんが。そのあとは、これぞという候補がありませんでした。でも、2015年フランスのサンロジェに行ったときにSupercrackinetteに出会いました。当時もこれはプロジェクトで、ローカルが9aはあるだろうと言っていましたが、アレックス・メゴスが2016年に初登して9a+をつけました。素晴らしいラインに、アレックス・メゴスによって9a+がついたのです。その瞬間から、このルートのフラッシングが大きな目標となりました。


Supercrackinetteがフラッシュに適していると思ったのはどうしてでしょうか?

登りは極端にトリッキーというものではないようでした。小さいカチホールドが主体で、僕の好きなクライミングです。難しいのはパワーエンデュランスの部分です。ルートは約20mで、登りの核心部はもっと短く、最後の4,5mはそんなに難しくありません。ベータ情報では難しいムーブは28手。

個々のムーブは超難しいというわけではなくて、何が難しいかというと、チョークアップするのすら難しいということです。動き続けるしかできず、登る間中は消耗していき、指が開いていこうとするのです。

このルートに向けて、メンタル、フィジカル面でどのように準備しましたか?

家でトレーニングして、パワーエンデュランスを多くやりました。友人のSeb Bouinが何度かトライしてまだ登れていないのですが、ベータを見せてくれるかと思っていました。ただ、トライしてから時間が経っていて、最良のベータを見せられるか分からないということで、Quentin Chastagnierを紹介してくれました。何年か前にこのルートを触っていて、オリジナルのボルトを打った人物です。完登間近まで全然行っていなかったようですが、ルートのことをとてもよく知っていました。僕にルートを見せるためだけに、サンロジェまで来てくれたのです。

これはプレッシャーが増しました。ベータを見せてくれる適任者がいるのは良かったのですが、同時にQuentinは僕のためだけに来ているです。カメラクルーもこのトライのためだけに来ています。他にも多くの人が撮影のためにやってきていました。

サンロジェには2週間前に入っていました。岩場はSupercrackinette以外はほとんど濡れていました。乾いていたとしても、初日からトライするのはよくないとわかっていました。現地のクライミングに慣れておきたかったのです。

他の面白そうなプロジェクトはやや濡れているくらいでした。その中には9a+?というグレードがガイドブックに書かれていてものがありましたが、トライすると落ち続けてしまいました。なので、これで9a+をフラッシュできるだろうかと不安になっていました。

Quentinからベータを教わったわけですが、ムーブを覚えようとしましたか?役立つか、どうやって判断しましたか?

核心部はQuentinもムーブを見せてくれるだけでした、トライしていたときもムーブはつながっていなかったようですし。どのムーブで止まって数秒でもシェイクできるか、わかりませんでした。

パワーエンデュランス系のルートでは、ルートのリズムをイメージすることが本当に大切なんです。レストできるところがないので、1秒か0.5秒でもシェイクして無理やりでもレストしなければなりませんでした。Quentinには全ホールドについて教えてもらいました。スローパーなのかカチなのか、シェイクできるか、ロックオフできるか、などです。それで各セクションのリズムやスピードがどうなるかイメージしようとしました。

実際に登っているときはどう感じましたか?

下部はいい調子でした。特にメンタルが最高でした。先ほど言ったように、前日に自信を少し失っていたので、最終的には自分で『OK、できる』と言い聞かせました。でも、ウォームアップのときからかなり調子がよく、これならできると確信し始めました。期待し過ぎない、気負わない、でもできると信じている、という完璧な組合せでした。

一手目からゾーンに入っていて、苦もなくルート完登をやってのけられそうでした。登っていたときのことはあまり覚えていないんです。最初の確信は20手目で、カチから1本指へ大きくロックオフするムーブです。これはいい感じでしたが、すぐあとにポケットが2手あってレスト可能、少なくともチョークアップできるとイメージしていたのです。ですが、Quentinの指は僕の指より少し小さかったので、指をねじ込むのに本当に苦労しました。ここが一番あやふやなところです。突然、コンフォートゾーンから出てしまいました。

28手目がルート中の最難ムーブです。左手2本指でカチって右手のカチまで大きく取りに行くムーブです。そこが近づいてくるにつれて、『あのムーブだ。どうだろう?やれるか?』と考えていました。 こういうルートを登るときには考えてはいけないようなことです。運よく、このムーブの前に、頭を切り替えることができて、成し遂げることができました。

これまでも9aのオンサイトを何度か達成しています。オンサイトトライ、フラッシュトライで精神的な準備や実際の登りが変わってきますか?

違いますね。個人的には、フラッシュの方が、精神的にずっと難しいです。オンサイトであれば、一定のオブザベーションをするでしょうけど、経験と直感に頼るわけです。でもフラッシュのときは、ベータをくれる人に頼ることになるので・・・完璧な精神状態に達するまでが難しくなると僕は思っています。
このルートでも、ベータに比べて2箇所、より自然になるように足を少し変更しています。でも、その他は全てQuentinのベータどおりに登りました。上を見ることなく、次のホールドだけを探していました。そのやり方はハマって、まさにイメージした通りにいきました。先ほど言ったように、2箇所のポケット以外は。

このルートは間違いなく9a+だと思いますか?

難しいと感じました。これは9a+だと確信しています。登ったアレックス・メゴス、トライしたSeb、Cédric Lachat、Quentinが全員9a+であろうとしています。間違いのない 9a+だと思います。

あなたは世界最難ルートをレッドポイントする力だけではなく、他の追随を許さないレベルのフラッシュ、オンサイト能力があります。どれか好きなスタイルはありますか?

僕はどれも好きなんです。スタイルを変えるのが好きだし、楽しいですから。でも僕の一番特異な能力というとオンサイト力でしょう。高速で決断をして、それが正しいと信じる能力です。


フラッシュやオンサイトが困難なプロジェクトに役立つでしょうか?あるいはその逆は?

オンサイト力が高ければ、レッドポイントにより早く達することができると思います。膨大なルートをオンサイトで登れば、ムーブのスキルが大いに広がります。40mのルートでは多くの決断をしなくてはなりません。オンサイトを全くせず、1年に少しのルートしかトライしないのであれば、自分自身の最高のベータを探さないといけないような状況は極めて少なくなります。

9a+のオンサイトは、すぐにできると考えていますか?

いつかできるかもしれませんが、今はそのレベルにいるとは思っていません。9aのオンサイトと9a+のフラッシュでどちらが難しいかとは決めにくいです。フィジカルな力としては等しいと思いますが、僕が思うには、メンタル的にはフラッシュが難しいです。ルートの選択肢が少ないというのが大きいですけどね。

次はどうしますか?この6ヶ月はすさまじいものでした。Silence (9c/5.15d)、多くの9a、9a+、 9b、を登って、さらに今回のフラッシュです。

僕が思っている今年の目標は、いろいろな場所でいろいろなルートを登ることです。グレードという意味では、今すぐには進歩しないと感じています。9c+ (5.16a)のレッドポイントや 9a+のオンサイトは、すぐにはできません。ですが、いろいろな方法で自分が進歩しているか判断することができます。例えば、9b、9b+をこれまでより早く登れるようになるとか。
今の目標は、いろいろな場所に行ってこのグレードのプロジェクトを探して短期間で登ってみることです。そしてトレーニングですね。9月にはワールドチャンピョンシップに出場しますし、上手く調整していきたいです。

https://rockandice.com/climbing-news/interview-adam-ondra-completing-worlds-first-5-15-flash/

2018/07/02

白石阿島が日本に移住

白石阿島が家族と日本に移住するというコメント。

『もう知っている人もいるかもしれませんが、家族と共にニューヨークから日本に移ることにしました。オリンピックのためだけと考えている人もいるでしょうけど、正直なところ、前から日本にを拠点にしたいという思いがありました。日本全国にある豊かな岩を楽しめますし。ホームとは別の場所で生活するということに興味もあるんです。新しい章の始まりです。ニューヨークでの残りの生活が愛おしいです』